私が、歯の痛みに苦しむ姿を見て、「えー?!歯医者なのに歯が痛いの?」と笑った同僚がいた。
「医者でも病気になるように、歯医者だって歯は痛くなるのよ!」と言い返したかったが、歯が痛くて言い返せなかった。
人生で初めて歯の痛みを経験して、「歯が痛いってこんなに辛いんだ。」と痛感。
楽しいはずの連休に、ひたすら痛みと向き合った経験を、少しでも役に立ててもらいたい。

令和の新しい時代を迎えるお祭りムードの10連休。歯の痛みはそれを忖度してくれなかった。・・・歯の痛みは、時と場所を選ばない。

時代が平成から令和に変わるお祝いムードの10連休に!どこの歯科医院もお休みという絶望的な日に、歯が激烈に痛くなってしまった。
全く予定はなかったが、10日間の海外旅行の企画をしていなかったのは幸せだったと思う。

過去に虫歯になったことはあるので、レジンという白いもので修復された歯や、一部を金属で修復された歯はいくつも口の中にある。歯医者だって虫歯になることもある。

しかし、それらは全て小中学生くらいのときに、夏休み前に渡された健診票を持ってしかたなく行った歯医者で、自動的に削られ修復されたもので、決して痛くなって治療を受けた歯ではなかった。

それ以降その修復された歯は、何十年もの間、私の口の中でおとなしく毎日活躍してくれていた。だから私は歯の痛みを知らずにこれまで生きてきた。

連休に向かって、だんだんと歯が痛くなる恐怖・・・痛みがでたら、即歯科受診が賢明。

それは世の中が令和を迎える喜びと、初めて10連休を経験しようとしていた平成31年4月28日。

歯の痛みはその数日前からすこしずつ強くなってきて、もはやどんな鎮痛剤を飲んでも効かなくなってしまっていた。もちろん、それ以前に歯科にも行って、レントゲンを撮っても特に異常はなかった。

何も食べないときは比較的痛くなかったが、食べ物を口に入れて1、2回噛んだだけで激烈な痛みが走りはじめる。

最初の頃は左上が痛いと思っていたが、この頃になると左上が痛いのか、左下なのか、はたまた側頭部が痛いのかさえわからなくなってしまっていた。
切り裂くような痛みが走り、続く。食事ごとに両手で左側のほおを抱え込んでうずくまってしまっていた。

お腹はすくので食事はするが、数口で終了。食べることが恐怖になった。食べられるものはスープやヨーグルトなど噛まずに飲み込めるもの。豆腐、胡麻豆腐やゼリーなどもギリギリOK。

さすがに少し痩せた。

休日に働いてくれている大学病院の歯科医に感謝・・・休日当番医の受診は、本当に緊急なときだけにしましょう。

耐えきれなくなった私は、その数日前にも受診していた大学病院に電話をした。休日のため救急外来につながったが担当の先生は休み。休日担当の先生は事情を説明すると快く受診を許可してくださった。

休日受付で受付を済ませたのち、ちょっと薄暗い口腔外科の処置室前まで行くと、先客が1人すでに治療を受けていた。割と長く感じられた待ち時間の間もずっと痛い。

歯が痛いってこんなに辛いんだ!患者さんは歯が痛いときにこんなに治療を待ち望んでいるんだということを初めて身を以て体験した。
もう少しでこの痛みから解放されるという希望を感じながら、自分の順番を待っていた。

待っている間に鎮痛剤が効いてきて、「この痛みを痛かっただけでは済ませたくない。」と強く感じた。

連休も休まず働いてくださっている歯科医に感謝しながら。

世の中が10連休で盛り上がっているときに、日本全国では医師も歯科医師も消防隊のみなさんも、看護師さん、その他の医療スタッフも10連休に関係なく、淡々と仕事をしてくださっていた。もちろん医療だけではなく働いてくださっていた皆さんに感謝。

先生は優しく治療してくださった。痛みは消えた?・・・歯には自然治癒はありません。

自分の順番がきた。少ないけれど自分にあるだけの知識も動員しながら、どう治療をしたらこの痛みから解放されるのか先生と相談した。

痛みの原因として考えられたのは、左上の6番と7番目の歯。新たな虫歯でも歯槽膿漏でもないし割れているわけでもない様子だが激烈な痛みを放っている。レントゲンをとってもわからなかった。

歯医者のくせに歯が痛いなんて!といっていじった同僚のことが一瞬頭をよぎったが、もはやそんなことはどうでもいいというレベルに達していて、口腔外科の先生に「6番でも、7番でもいいから抜いてください!なんなら2本まとめて抜いてください。」とお願いした。

数年前「芸能人は歯が命」というのが流行っていたが、歯医者、少なくとも歯医者の私にとっては命というべき歯を、あっさり2本も抜いてくださいとお願いするほどの痛みだった。

先生は丁寧に優しく説明してくださったのち、7番目の金属を外してレジンで治療してくださった。神経は取らなかった。抜歯もされなかった。

その後も痛みは続いたが、日ごとに和らいでいき、1週間もすると痛みを感じなくなった。
治った!治った!と静かに喜んだ。

でもこれは嵐の前の静けさにすぎなかった。

3ヶ月後、ついに姿を現した。・・・歯牙破折

しばらくの間痛みを忘れていたが、2ヶ月くらい過ぎると、だんだんとまた痛みが再燃。
嘘でしょう!そんなはずはないと思っていたが、確実に痛い。

今度は平日にきちんと予約を取って、今度は6番目の歯を削って治療してもらった。しかし 痛みは一向によくならない。やはり、鎮痛剤を飲む時間が待ち遠しいほど痛い。

左側は痛みのため歯ブラシを使えなかったので、ウォータジェット式のノズルの先から水が噴射して口の中を綺麗にしてくれるものを使って清掃した。このウォータージェットの難点は、慣れないと、鏡や洗面所などの口の外に水が飛び散ってしまうことだ。あくまで使用する側の問題だ。

ある日いつものように口の中をウォータージェットで清掃途中、左上に水をかけると異臭がするのに気がついた。はじめは少し清掃が悪いのかと思った。似ている臭いだったので、風呂場の下水の臭いの逆流かと思おうとしたが、風呂場は臭くなかった。

なんどか繰り返し試してみたが、やっぱり左上に来ると臭い。しかも尋常ではない強い異臭。
私臭い⁉︎周りに悪臭を撒き散らしていた?
ウォータージェットを職場まで持って行って何度も口の中を洗浄した。

その間も痛みは続いていた。
痛くて眠れないことが辛かった。眠れないが、疲れ果てて、コクっとした瞬間、不用意に上下の歯と歯が噛み合わさってしまい、激痛で飛び起きた。食べることに加えて寝ることも恐怖になった。

いろいろ工夫をした結果、歯が噛み合わないように、痛みがある歯とは反対側の歯と歯の間にガーゼを挟んで寝ることにした。
ガーゼの反対側は誤嚥防止のため、右の頬にテープで止めた。夜中に激痛で飛び起きることはなくなり、睡眠不足と鎮痛剤効果もあいまって、それからは少し寝ることができるようになった。

こんな日が数日続いた後、ある日口の中の異変に気がついた。左上7番の様子がおかしい。
??舌で触ると、なんかおかしい、いつもと違う感触?溝がある!縦に溝がある!
そこに向かってウォータージェットを噴射すると飛び出す悪臭。

そしてさようなら・・・抜歯

これだ‼︎
歯科の予約はいっぱいで1週間後しかとれなかった。
さらに1週間痛みと悪臭と闘うことになったが、痛みの原因がわかってゴールが見えたきたと思えた。

1週間後診てもらうと、やはり真っ二つに割れていることがわかった。
痛いはずだ。神経のある歯が生きたまま割れて、そこに食べ物が侵入し刺激する。唾液や細菌も侵入する。下の歯が当たれば、当たった歯の一部が動き、傷ついた神経を刺激する。

担当の先生はどうにか歯を残せないか一生懸命考えてくださった。いくつか選択肢を提示してくださったが、私の意志ははすでに抜歯と決まっていた。

何十年もの間、口の中にあって、美味しいものを一緒に味わってきた歯。正直歯をなくすことは悲しかったが、数ヶ月間の痛みが抜歯を選択させた。

最後は、学生の教育のためその歯に役に立ってもらいたいと思い、臨床実習の学生さんに抜いてもらうことにした。

歯槽膿漏ではなかったので周りの骨はしっかりしていたし、動揺もしていなかったので、抜くのに少し多目の時間がかかり、痛かった。

抜いた後に縫合して(縫って)もらったが、骨がしっかりしていて、歯茎で閉鎖するとまではならなかったため、数日間は少し血も出た。

歯は残り27本になってしまった。
数日で痛みからは解放された‼︎︎‼︎
痛みのない生活はこんなに幸せ…。食欲全開

その前、そしてその後・・・抜歯前後

歯が割れた原因はおそらくストレスから歯ぎしりをしたことによるものだと考えている。
思い返せば数年前寝ているときに、夜中バッキッと音がして目が覚めた。
「歯が折れた!」と思ったが、そのときは特に何も起こらなかった。

おそらくそのときに小さいひびができていたのだろう。そして数年かけて、その歯のひび割れが深く広く進行して行ったのだと思う。今回恐らく何か固いものを食べたときに、一気にひび割れが全体に広がったのだと思う。

その後抜歯をしたところは、だんだんと骨ができてきているようだが、やはり一部凹んでいる。そして悲しいことに少し熱いものを食べると、歯ではなく出来立てほやほやの歯肉に当たるためか、より熱く感じる。歯がないことを再認識する。

これ以上歯ぎしりで歯を失わなくて済むように、ナイトガードも作ってもらった。

まとめ

①歯の痛みは来て欲しくない時にやってきます。
②歯の痛みを感じたら、できるだけ早く歯科受診しましょう。
③休日当番医または救急病院受診は本当に緊急時にのみにしましょう。
④虫歯、歯槽膿漏や歯牙破折の状態になったら自然治癒はありません。
⑤歯牙破折は破折の仕方にもよりますが、抜歯になることがあります。
⑥いろいろな理由で抜歯後は、残りの歯を大切にする方法を考えましょう。

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